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 > これは変だよ  > 最低賃金と生活保護


 

最低賃金額が生活保護水準に達しない地域がある。政府は「4年で解消」をいっているが、それでも全国平均は800円に届かない。

さて、多少とも恵まれてる生活をしていると、
「最低賃金レベルの収入しかないなんて、自分に投資してこなかった自己責任でしょう」
などとぬかす輩がいる。自分がそんな立場になる、なんて想像力もない、阿呆な人たち、と僕は思うがね。

購買力を上げるために、また、摂取カロリーを上げるために、さらに、良質のたんぱく質をとるために、60年代から70年代半ばまで、日本の経済を背負って働いてきた人たち、多分、70代以上の人たちが、がんばってくれた貯金で、80年代の繁栄を、後の世代は享受できた。80年代に社会人をしていた人たちは、それを己の世代の実力と勘違いしている人たちも多い。

で、享受するだけで、維持する努力がどこかおろそかになっていたんだろう。
「自分がやらなくてもだけかがやってくれている。」
とかね。で、バブルがはじけ、失われた10年があり、その後、企業とお金持ちだけが優遇される政策が2007年まで続き、

  • 株価は今までにない高価格で企業は好況なのに、労働者にはおこぼれ少なく
という状況があった。それでも、非正規従業員でさえ、薄氷の上の生活だったにも関わらず、そこそこの生活ができていたので、問題意識も持たない阿呆な労働者が多かった。

周りが見えず、自分のことだけしか考えられないと、労働基準法・派遣法・職業安定法に抵触する労働条件でも、それを受け入れてしまう。戦うとお仕事もらえない・仕事を失うから、という理由で。しかし、この考え方が、労働者全体の力を弱めさせ、人生の諸先輩方が血を流して手に入れてきた、基本的な権利を放棄し、ひいては廻ぐりめぐって自分のクビを絞めることになっているんだけれどね。
※ だから、年越し派遣村の事件は、

  • 将来自分の身に降りかかる出来事かもしれない
  • 社会正義実現のため
という点では応援するけれど、
  • 普段、今まで何もしてこなかった
  • 自分が困る立場になってはじめて、助けてくれ、といい始めた阿呆
を応援する気にはなれぬ。

で、2007年の夏に「サブプライム問題」が発覚。市場経済は実体経済を先取りするので、この時点で
「やばい!」
と感じた人たちは少数。株とか投資信託など金融商品に手を出していた多数の人たちは、多少の損をこうむったが、金融商品に手を出していない・出せるほどの資産はない・だけれどもそこそこ生活できてしまっているから、決して自分が貧乏な馬鹿とは気付いていない多くの庶民には、あまり影響なく一年が過ぎた。
※ なにしろ、リーマンショック直前まで、世間の話題は、

  • 洞爺湖サミットで地球温暖化防止に世界のトップはどう対処するか?
  • 福田首相も一年で辞めちゃう、バッカじゃねぇの!
だった。

で、2008年の秋に、全世界株安・世界恐慌に突入、この時点でも

  • へー!あの会社、倒産しちゃったよ!
的なことしか感じない阿呆ばかり。そのうち自分たちのみに何が降りかかるのかってこと、判っていない。

で、非正規雇用の労働者がクビを切られ始めて、生活が立ち行かなくなる人が出始め、それゆえに、消費者がものを買わなくなり、それゆえに、勤め先の企業も益が減少し、それゆえに、自分たちの収入が減り始めて、やっと、

  • 大変な世の中になっちゃった!
と気付き始めた。

天災は、リーマンショックの翌日以来、さまざまなトコで予言していたよ。大変な世の中になっちゃうってね。テレビや新聞で失業者が増えるというニュースが流れるだけでなく、身近な人たちに、

  • だれだれさんのお父さん・お兄さんが失業しちゃった
  • だれだれさんがクビになった
  • あなた自身が失業する
  • あなたの生活レベルが低下する
という事態になるってね。

最低賃金を生活保護レベルより上げようという議論に対して反対する議論もあるが・・・

昨年末の年越し派遣村以来、最低賃金と生活保護について、意識している人も増えてきた。で、民主党は選挙公約で

  • 最低賃金が1000円
を上げている。
※ だからといって民主党を応援はしないけれど。

以前より、

  • 最低賃金を生活保護より上にすると、中小零細企業の経営が立ち行かなくなる
  • ひいては、雇用を減らすことになる。
という意見がある。目先ではそうだろう。そして、目先の経営しかできない阿呆に経営者ほど、このように言うだろう。だから、今度の選挙でも、自民党に投票する。だけれども、最低賃金が生活保護より下という現実はおかしいだろ!
※ 世界の主要国の中で日本は最低レベルの「最低賃金額」である。欧州では1000円前後。
※ だから、生活保護支給額も上げられない、という意見も良くないぜ!
  • 最低賃金を生活保護より上にすると、中小零細企業の経営が立ち行かなくなるなんて企業はさっさとつぶれてしまえばいいし、
  • 国の政策も、企業優遇・ばら撒き選挙対策をやめなきゃいけないし、
だ。
  • 最低賃金引き上げは景気が上向いてからにして欲しい
という中小零細企業の経営者がいるが、
  • 2007年夏までの好景気の再来はもうしばらくは来ない。少なくとも5年は・・・
だ。上向いてからなんて言っていると、それは立場や年齢によっては、永久に来ないと同義、の人たちもいるんだ。

日本の経済が駄目になった最大の要因は「個人消費の低迷」だ。

  • 待機児童が多くて、子供を預けて働きに行くこともままならない
  • 養育費・教育費にかかる費用を考えると、子供を作ることも不安
  • リタイアした後に受ける年金の支給額や、支払うことになる医療費が不安
  • 公立の特別養護老人ホームの入所希望も、今必要な人に待機を強いるし
  • 自宅介護を選ばざるを得ないし、老々介護になるし
  • 政治に頼れないならば、老後の医療費や生活資金は自分で確保するしかないと思わざるを得ないし
というように、将来に対する生活不安が消費を低迷させているのだから、自民党の「企業優先の経済政策」では、これからも個人消費は良くならない。「老後に対する不安」がある段階で「消費にお金を回す人」は一部の金持ちしかいない。 大企業を税金で救っても、救われた大企業は利益を国民に還元しないし、更に国民は年金などで将来の不安が消えないことが、日本経済が本格的に回復出来ない理由。

2007年夏まで、多くの人の感覚では2008年の夏までは、バブル期の企業業績を突破する好景気が大企業に訪れたが、この恩恵を被ったのは大企業の経営者と株主であり、大企業のサラリーマンも中小企業も個人事業主も景気がよくなった恩恵は全く受けていない。

それどころか、医療費も年金もマイナスになり、更に景気が再び悪化したら、そのツケも弱者であるサラリーマンと中小零細企業に回って来る。

この自民党の経済政策に対して、民主党は「国民重視の経済政策」を打ち出した。つまり。民主党は「老後の不安を少しでも解消したり、現実の生活苦を解消する」という、国民の将来に対する不安をなくす方向の経済政策を発表している。

自民党政権が続けば「弱者の犠牲のもとでの強者救済」というこれまでと変わらないことが行われる。少なくても官僚と組んで「既得権益を守ろう」としている自民党が行政改革を行えるとは思えない。

まじめに働けば「一定以上の老後の生活が保障される」、働かなくても「最低水準の老後の生活が保障される」社会になっていない

それも、これも、国民が、自民党政治を選択してきた結果であって、自民党が、養育・教育・雇用・老後に無策だったからだよ。
※ 「自分は自民党に投票してない」は言い訳にならない。みんなで選択した結果なのだと言うこと。
※ ましてや「選挙に行ってない」は論外。これはただの権利放棄。「棄権も意思表示」なんて理屈は通らない。
(選挙が何なのかわからない程度の阿呆なんでしょ!時々選挙に行かないことを自慢する人もいるよね)

どだい、もう世界の先進国ではなくなった日本で、すべての労働者の生活費を賃金でまかなうのが無理。所得に応じて、最低生活費を公的に保障すべきだろう。

公立高校の授業料無料は、ある程度賛成できるが、年収500万円を超える世帯には当てはめちゃだめだろう。

もう日本は世界の先進国ではなくなったことを自覚して、生活レベルを下げることを受忍しないと。



初出 Aug 20 2009
更新 Aug 20 2009


 

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