Episode 1
某メーカー系のOA販売会社、いわゆるシステムインタグレーたーにいたときのことです。OA販売の部署のヘルプで、客先のFMR-50にFM-OASYSをインストールすることをになりました。
「PCはオタッキーのように詳しいようだけれど、プロとして通じるかどうか、まずアプリケーションでもインストールしてごらん。」
というオーダーでした。ここの会社に勤める前は電子楽器のセットアップとメンテナンスをしていたので、まぁ、なめられていたんですね。
FMR-には、50というモデルのほかに、60と70とがありました。50と60はいわゆる640×400ドットの表示が出来るDOSマシンです。対抗機種はNECのPC-9800シリーズというところ。メモリ空間は640Kbyteまでというところも同じ。70は1150×750程度でNECのH-98シリーズの対抗でした。メモリ空間は750Kbyte。当然、50や60とは異なり、ほとんどのアプリケーションも、50・60用と70用とでは別に用意されていました。これは、NECのH-98でも同様でしたね。
で、
「これもって行って来てね。」
とわたされたのが、FMR-70用のFM-OASYS。
「う〜ん、これは出来ないでしょう。」
といってはみたものの、
「以前これで○○さんはインストールしたから。」
という言い方で受け入れられませんでした。
ここの会社では、顧客サービスの一環として、PCを売るときに、
「ワープロのOASYSと表計算のLotus 1-2-3をインストールしてお付けしますよ。」
という営業をよくやられていました。(僕はそんな営業はしたことがない。)実態はライセンスを売らず、1つの媒体からインストールを行っていただけです。
NEC PC-9800シリーズ用のビジネスアプリケーションは、ノンプロテクトのものがほとんどで、違法コピーがまかり通っていましたが、FMR用のものは富士通の販売チャネルを通して、一般顧客ではなく、法人や官公庁に販売していたものが多いので、
「98用はプロテクトがかかっていないのに、FMR用はプロテクトがかかっている。」
という状況でした。ここの企業では、Duplicaterなるディスクイメージをそのまま複製する装置を用いて、未だ一度も使用したことのない媒体をコピーし、利用していました。いわゆる企業ぐるみの違法行為です。
客先には、事前に渡されたDuplicatした媒体を持ち込み、インストールを試みました。で結果はインストールできず。
「FMR-50にはFMR-70用のアプリケーションはインストールできません。」
というメッセージ。当然ですよね。
ところがこれを報告すると、
「アプリケーション1つインストールできないのか?!」
「おまえのやり方が悪い。!」
となってしまいました。やれやれ。
Episode 2
この企業ではNEC PC-98を「PC」・・・ピーシー、と呼んでいたんだ。富士通FMRは「FMR」と呼ぶ。
一般的にはPCは「パーソナルコンピューター」のことだからこの会社以外、例えば「パソコン雑誌」ではNEC PC-98を「キュウハチ」と呼んでいる。
日本以外の地域では、AT互換機以外のものでもパーソナルコンピューターならば「PC」である。AppleのMACもPCだ。
日本ではメーカーか各社の囲い込み方針からAT互換機のような動きが今までは無かった。しかしこれからはAT互換機DOS/Vの時代である。機種固有の呼び方をするならNEC PC-98を「キュウハチ」と呼ぶべきであろう。「PC」と呼ぶと誤解が生じる。特に富士通はFMRという固有アーキテクチャをやめてAT互換機路線になるのだろう?OASYS-PCなんかAT互換機そのものではないか!
個人ユーザーの世界でもNEC PC-98は「キュウハチ」と呼んでいるのにそんなことも知らないなんてコンピューターを売っている会社なのに情けないとおもう。パソコン雑誌を読んでいる人がいないということだね。
それとも「FMR」はピーシーではないとでも?
初出 AUG 1998
最終更新日 19 AUG 2003