IPアドレスを自動取得するように設定されたクライアントコンピュータは、ネットワーク内のDHCPサーバーからIP通信に必要な情報を受取ることができます。(DHCPサーバーが正しく構成されている必要があります。)
DHCPは、IPによる通信に先立って必要なパラメータ(IPアドレス、ネットマスクをはじめデフォルトゲートウェイ、ネームサーバー)を、個々のマシンには設定しないで、DHCPサーバーから動的に取得できるようにするプロトコルです。最近のPCのOSでは、DHCPクライアントをサポートしており、Windows95/98、NTやMacintoshでもこの機能を使うことができます。
DHCPの特徴としては、下記の点が挙げられます。
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使用期限付きのアドレス配布
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IPで通信を行うためのパラメータの提供
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永久的なアドレスを割り当てる自動割り当て
IPアドレスとともに配布するパラメータには(クライアントコンピュータは一般的に1と2を受け取る)、下記のものがあります。
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デフォルトゲートウェイアドレス
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ドメイン名とDNSサーバーアドレス
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Microsoft DHCPではWINSサーバーアドレスと名前解決方法適用順序
DHCPの大きな利点はネットワーク管理も負荷が減ることです。
問題点はトラブルの原因となっているIPアドレスが分かったとしても、その機器が特定しにくいことです。(Windowsネットワークではnbtstatコマンドで解決できます。)
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初回のクライアントのIPリース要求は、未だDHCPサーバの存在が不明で、かつ、クライアントはIPアドレスを持っていませんから、IPアドレスでの通信は出来ません。そこで、このトラフィックは自分のアドレスを仮のアドレス0.0.0.0とした、同一セグメント上の全ホスト宛IPブロードキャストとなります。(Discover)
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サーバからのIPリース提示は、クライアントがIPアドレスを持っていませんから、IPアドレスでの通信は出来ません。そこで、このトラフィックは同一セグメント上の全ホスト宛IPブロードキャストとなります。(Offer)
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サーバからのIPリース選択は、まだクライアントのIPアドレスが決定していませんから、IPアドレスでの通信は出来ません。そこで、このトラフィックは同一セグメント上の全ホスト宛IPブロードキャストとなります。(Request)
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サーバからのIPリース確認応答は、まだクライアントのIPアドレスが決定していませんから、IPアドレスでの通信は出来ません。そこで、このトラフィックは同一セグメント上の全ホスト宛IPブロードキャストとなります。(Ack)
※ IP更新時のクライアントは既にIPアドレスを持っているので、IPアドレスでの通信が可能です。そこで、更新時には特定のホスト宛
IPユニキャストが使われます。
DHCPで送信するメッセージはブロードキャストです。ルーターを越えません。Windowsネットワークでルーターを超えるネットワークに対してもIPアドレス配布をしたい場合には、あたかもそのネットワーク上でのDHCPサーバーの如く振舞う、DHCPリレーエージェントを用意することでDHCPサーバーが管理するIPアドレスから払出しが出来ます。
※ ブロードキャストには、L2ブロードキャストとL3ブロードキャストと存在します。
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同一L2セグメント上の全MACアドレス宛のトラフィックは、L2ブロードキャスト
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同一IPネットワーク上の全IPアドレス宛のトラフィックは、L3ブロードキャスト
です。