Windows 95がTCP/IPに対応していたことで、世界規模でInternetが発達しました。しかし、MCP試験のTCP/IP on Windows NT4はインターネット標準のTCP/IPの知識を習得するにはとても寒い内容でした。しかし、国家資格よりも受験しやすい仕組みであったし、取得者を抱える企業もそれを営業に活かせたので、転職や資格手当なとで優遇されるとあってMCP取得が大流行。偏りの無い知識とそれなりの経験があれば合格できる試験なのだけれど、日本の受験生お得意の理解していなくても丸暗記という方法で石を投げればMCPに当たるという状況になりました。まずこれがいけない。実力も無いのに「私、MCSEです。MSUに通わずに合格しました。」な〜んて方が出てきてしまう。MSUは試験対策だけの目的で存在するのではなく、体系的にかつ効率よくMicrosoft製品のエンジニアを育成する講座なのに。
Windows Networkのエンジニアならばレジストリを触れずに仕事は出来ないはずです。しかし、前段落で「私、MCSEです。」と言った方は、僕とレジストリチューニングについてお話したときに、
「まぁ、怖い。レジストリをいじるなんて。」
とのたまいました。Microsoftは
「マイクロソフトは、レジストリ エディタの誤用により発生した問題に関しては、一切責任を負わないものとします。レジストリ エディタは、自己の責任においてご使用ください。 」
といっていますがそのことを
「Microsoftのエンジニア以外はレジストリをいじるべきではない。」
とでも理解しているかの様です。この方はコマンドオペレーションもpingとipconfig程度で他のコマンドはネットワークコマンドもご存知でなかったし、ATコマンド・ntbackupコマンドの操作経験・実習レベルのDNS・WINS・DHCPサーバーの構築経験もない、無人インストールスクリプトの作成・検証の経験もありませんでした。独学でのNTサーバーの実習経験でさえも無いことが判ります。それでもNT4トラックのMCSEは取得できてしまうのですね。NT4トラックのMCP試験は(Microsoftは公式に認めていませんが)MCP取得者を増やすというマーケティングの一環で合格が簡単な時期がありました。(今の2000トラックでもコア科目はそれなりに簡単ですね。しかし、これよりも簡単に合格できる時期がありました。)このように粗製濫造でMCPが多く生まれましたから世間からのMCPへの信頼が低下するのも当然でしょう。先の社長さんも
「私、MCPです。」
という技術者に仕事させてみたら出来なかった、なんて経験が多かったのでしょう。
だからMicrosoftでも2000トラックでは特にNetwork・TCP/IP方面について厳しくしたし、MCSEに合格出来ない方が威張れるようにMCSA・MCAなんて資格を用意しましたね。
ITエンジニアに特化した大手の某人材派遣会社では「人材派遣会社では唯一CTEC認定校を運営しています。」をうたっています。CTEC認定を継続する為に必要な最低2人のMCTを抱えることというCTEC認定条件の1つをクリアする為に雇用されたのが、先の「まぁ、怖い。レジストリをいじるなんて。」とのたまった方です。僕はMSUを受講するのにこのような認定校のこんな認定トレーナーに25万円払う気にはなれないな。この企業も有資格者ということだけに着目し、実力を測ることが出来なかったのでしょう。でも「エンジニアの実力を測れない。」というのもその企業の実力です。
資格受験産業とでもいう企業の存在も無視できません。リストラ対象にならないようにするには或いは再就職や転職を有利にするには資格がある方がよいのは当然ですが、それを無いと最低限の生活も出来ないが如く危機感を煽っている業者・企業が存在します。このような企業では資格取得者よりも資格を取得ようとしている者が(お客様として)もてはやされます。
「MCPになるとフリーターを辞められますよ。」
「MCSEなればIT業界への就職も可能です。」
これでテキスト・問題集丸暗記の実力のないMCP取得者が濫造されます。資格取得者というだけで就職出来れば幸せですね。資格受験産業は実際にその資格が役に立つかどうかに関わりなくまた資格取得者に実力があるかどうかにも関わりなく資格取得を目指すものからお金を頂くシステムですから。
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このような方がMCPのレベルを下げている
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このような方がMCPを見下している1