ノイズはデーターを化かすかもしれません。PCオーディオ程度ですと「うるさいな。」程度で済むでしょうが、データー化けが医療機関や金融機関で起こったら大変です。次に述べるアースをどうすべきかは火災や火傷といった事故を発生するかもしれないことです。
アスキーNT1999年1月号の106ページのコラムアースをどうすべきかには、
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洗濯機や冷蔵庫をアースしているユーザーは多いが、PCをアースしているユーザーは少ない。
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PCのアースはとらなくても良い。
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乾燥した時に静電気でビリビリする程度。
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この静電気の影響をなくすために筐体をアースすることを推奨されている。
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PCでは米国式の3つ穴コンセントが多い。中央の丸い端子がアース用。
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日本のコンセントはどちらか一方のピンがアースされる様になっている。
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PC側が3つ穴でコンセント側が2つ穴の場合に自動的にアースされている。
という事がかかれています。
確実に
2・6・7は間違いです。
アースはとった方が良い
まず意識するのは、
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コンセントの平行2本の穴の間には100Vが印可されているということ、
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その片方はL側で対地間電圧が100Vということ、
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のこりはN側で対地間電圧は0Vということ、
です。ACケーブルのプラグが2つ穴用の場合に、複数の電子・電機機器において電源の位相の取り方が逆(ニュートラルとライブの取方が逆)になっていると、(理論的には)正相の機器と逆相の機器のシャーシ間電圧は壁のコンセントに印加されている電圧そのものとなります。つまり、アースを取ることでシャーシ間の電圧を強制的に
0Vにして、
シールド効果でノイズからデータを守るだけでなく、
機器間電位差を無くして感電から使用者を守ることになります。
アメリカ式の3つ穴コンセントでは、(電気工事が間違っていない限り)どちらがL側かN側かユーザーが悩むことなく、常に正しい向きにACプラグがコンセントに挿さります。そこで、例えコンセントのアースがとれていなくても複数機器で同じ位相で電気を取ることになり、シャーシ間電圧に100Vが出ることはありませんので感電しません。例えコンセントの位相が逆になってしまっていても全ての機器で逆になりますから、機器間でシャーシ間電圧に100Vが出ることはありません。そこで機器間で感電することもありません。機器間で何らかのケーブルを接続する時にショックを受けることもありません。更に、全てのシャーシ間で導通状態になりますので、機器間での感電はありません。しかしこの場合、アース回路が大地に接地されていないと、対地電圧は100Vとなるハズです。その部分においては危険を伴います。(案外、この見かけだけのアース回路も多いのが現状です。駄目な電気工事が多いんですね(T_T))この3つ穴コンセントのアース回路を大地に接地すると、やはりシールド効果でノイズにも感電にも強い状態になります。
余談ながら、YAMAHAのFシリーズやGシリーズのギターアンプとRolandのJCシリーズギターアンプは、国内ではアマチュア等コンシューマーの使用も考慮して2つ穴コンセント用のACプラグです。ところが米国向け輸出仕様では3つ穴コンセント用のACプラグになっています。アンプ本体そのものには違いが無いのに使用している電源ケーブルが異なります。US仕様はアースが取れるだけでなく電源の位相も合うのです。
通常、日本のメーカー品でも台湾産でもPCパーツは米国仕様が大半です。そレらのパーツは電磁仕様を含む電気規格は3つ穴コンセントに挿しアースピンを地面にアースする事を前提とした規格になっています。これをアースしないで使用すると
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ノイズの影響を受ける
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位相が逆の場合、シャーシに誘起する電圧が高く更にノイズの影響を受ける
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位相が逆の場合、シャーシに誘起する電圧が高く感電しやすい
という不幸なこととなります。アースを取るとCDプレーヤーで音トビがなくなったり、音に鮮明さが出てきたりします。当然ですね。ノイズの影響が少なくなるのですから。これでもアースを取りませんか?
となると、1995年から96年にかけて埼玉や東京の一部の公立小中学校のPC教室をNEC販売代理店である日興通信が設置したところは、
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床下の電気工事では、アース付き3Pで工事してあったとしても、
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机上のPCと周辺機器はアースを取っていないし
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機器同士で電源の相を合わせていない
から
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データが化けたり
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エラーなど期待しない振舞いが出たり、
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子供たちが感電したり
なんてことになっているだろうね。僕が彼らの下請けでPCを並べたときにこの「電源」について指摘しても、
「感電してもらいましょう」
なんて言っていたからね。
それではアースをとることとしますが、アースのとり方にもテクニックがあります。理屈を判らずになんでも全ての機器でアースを落とせばいいんじゃ!とLeo music栗林方式でアースを取ると、消えないノイズ・消せないノイズに悩まされることになるでしょう。複数電気機器でアースを複数取るとアースと機器のシャーシでループ回路が出来、ノイズが発生する場合もあります。複数機器を使用していてシリアルケーブルやネットワークケーブル・オーディオケーブルなどで各機器の筐体レベルに導通がある場合、別々にアースを取るとループを作ることも有り得ます。一箇所だけで太いアースを取るとループによるノイズを避けることが出来る時もあります。三つ穴コンセントのアース回路が共通という事でループによるノイズが出るときは、共通のアース回路が十分に太くないことが多いのです。
アースを取っていても機器からアースとして利用しているケーブルが十分に太くないと、ケーブルの持つ抵抗分が無視ではなくなり電圧が生じます。つまり本来、大地と同電位であるはずのシャーシが大地と電位差を持ちます。一般に消費電力が大きいものほど大地と電位差も大きくなります。すると複数機器のシャーシ間で電位差が生じます。そして、本来、大地に流れるはずのものが別の機器に流れ込み、流れ込んだ先の機器ではノイズに悩まされるということも起こります。アースとして利用しているケーブルが十分に太くない時には、このようなことがよく起きます。この場合、共通アース回路を利用せずに機器それぞれで直接大地に接地すると改善することもあります。
以上に述べたような知識を身につけずに、機器のシャーシをきちんと接地せずに、サン楽器(サンフォニクス)正木方式で、マルチボックスやパッチパネルのシールドをカットして各チャンネルで独立しても、ノイズは多少は小さくなりますが、根本的な解決とは言えません。1chしか使用しないときにシールドが効かなくて音も出ないしノイズだらけ、ということになりかねません。電気回路・電子回路の知識が無いのに、知ったかぶりをしては迷惑なだけです。
ノイズといっても耳に聞こえるものばかりでなく、
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電磁波となって様々な影響を与えるもの
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電子データを破壊・変化させるもの
など様々です。
日本のコンセントは必ずしもどちらか一方のピンがアースされるとは限らない
6000vを100Vに変換するトランスの二次側で0V端子を地面に落とします。またこの0V端子を引張ってきてN側としています。そこで
きっとN側がアースと同じ電圧0Vだからという事でどちらか一方のピンがアースされる様になっているというデマとなっているのでしょう。直流的に導通はありますが、N側はアースではありません。アースとして使用してもいけません。N側はあくまでもL側と対になって、100V電圧をかけで電気エネルギーを通すためにあります。(理由…電流は閉回路に流れるから。)この電気エネルギーとしての電流の流れる道に、いらないもの・汚いものを流してはいけません。いらないから・汚いからアースに落とすのです。
もちろん、単相3線200Vで引き込みされていて、その片側を利用して単相2線100Vとしている場合には、ニュートラルが柱上トランスで大地に接地されている場合のみ、ニュートラルをアースとして利用しても事故は起こりませんが、あなたの身の回りにある電源のニュートラルがアースに利用できると判明していますか? しかも、見かけ通り、穴の長いほうが本当にニュートラルですか? まずそのようなことはご存知ないですね?。
(電気工事が必ずしも正しく行われているとは限りません。見かけとは逆になっていることもあります。)
これ以外にも、もし下図のような3相3線200V引きの1相を利用して100Vを取り出しているときに、中点をアースとしているとは限りませんね。
だから、ニュートラルをアースとして利用してはいけません。
3相3線で引き込みをしているようなお金もちの邸宅や、
ビルに入居している一般のオフィスで、
ニュートラルを必ずしもアースにおとしていないことがあります。
3相3線200V引きの各相にそれぞれ単巻単相トランスを用いて、
それぞれでは単相3線200Vとして利用できる回路を構成することがあります。
その場合ニュートラルをアースに落とせるのは一箇所だけで、
あとの2箇所はアースに落とせません。
これは一般的です。
(図に表示されていない残り2面でも同様に100Vを取り出しているかも知れないことを想像してくださいね。ニュートラルを接地できるのが一ヶ所のみで残り二ヶ所のニュートラルは接地できませんね。)
複巻単相トランスならばそれぞれ3箇所の絶縁された二次側の中点を
アースに落とすことは可能ですが、
ユーザーからは、
「目の前の100Vがどのようにして作られているか」
なんてまずわかりませんから、
ニュートラルが接地されていない場合に、
ニュートラルをアースと短絡すると
事故ります。
3相4線173V引きならばニュートラルが接地できて100Vが供給できます。(だからとぃってニュートラルはアースではないですよ。)
繰り返します。日本のコンセントは必ずしもどちらか一方のピンがアースされるとは限りません。めんどくさくても初めての場所ではテスターで相をはかりましょう。
PC側が3つ穴でコンセント側が2つ穴の場合に自動的にアースされません
今回のアスキーNT1999年1月号の最大の問題点ですね。これで事故がおきたら、アプリケーションやPCの改造と一緒で、
「読者の自己責任で・・・。」
なんていってのけるのだろうか?
PC側が3つ穴でコンセント側が2つ穴の場合は、別の方法でアースを取らない限りアースが浮いた状態です。ノイズは出ますし感電するかもしれません。ヨーロッパや英国だと220から240Vですから死ぬかもしれません。(その昔、ユーライヤヒープというハードロックバンドのベーシストは、野外コンサートの本番中に観客の見ている前で240Vで感電死しました。)
自動的にアースされる
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ACケーブルをテスターで計測すると機器側のアースピンがプラグ側の2つのピンのうちどちらかと導通があるハズ
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なんて考える人も出てくるかもしれません。(そんなわけはないのですが・・・)機器側のアースピンがプラグ側の2つのピンのうちどちらかと導通があッたら大変ですが、テスターで計測したら導通が無いので、
「僕のケーブルは繋がっていないんだ。」
と考えて、下図のようにケーブルを短絡するように細工する人が出てくるかもしれません。そんなことしたら大変です。アースピンを短絡させるピンをN側なのかL側なのか考慮していなかったら、
事故発生です。(その前にブレーカーは落ちるでしょうが、ケーブルはスパークして熔けていますね。ブレーカが落ちなかったら、それはそれで問題ですが、火事になりますね。)
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こんな事をしてはいけない!
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こんな事もしてはいけない!
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たとえ、複数のケーブルで、機器側の台形部分の穴の見かけ上のニュートラルとアースを間違わずに短絡したとしましょう。反対側のコンセントに挿すプラグ部分が2Pプラグの場合、ライブとニュートラルを全て間違わずに挿し込めますか?
一本でも間違えたら事故発生です。
家屋への引き込みが単相ならばまだしも、3相での引き込みならばニュートラルがアースと同電位とは限りません。この場合、確実に事故発生です。
一般家庭では単相3線200Vが多のですが、大口需要者となると6000Vで引き込んで3相3線200Vで引き回すことが多いでしょう。それを更にトランスをかませて3相4線173Vや単相3線200Vにしているのですが、この場合、ニュートラルがアースと同電位とは限りません。ニュートラルを接地出来ないこともあるのですから。
日本特有のアースなし2つ穴のコンセントでも、どちらのピンがN側かL側かを意識しましょう
どちらのピンがN側かL側かを意識するだけで、ノイズはグ〜ンと低下します。(アースを取るよりはノイズが大きいです。)CDプレーヤーで音トビがなくなったり、音に鮮明さが出てきたりします。当然ですね。ノイズの影響が少なくなるのですから。感電も受けにくくなります。(アースを取るよりは感電する可能性は大きいです。)
エレキギターはノイズ対策として金属弦をシールド回路(ギターアンプのシャーシ回路)と短絡しています。本来、地面・大地に落とすところを、人体で代行しているのです。当然、大地よりノイズは大きいのですが、何もしないよりはるかにノイズが減って聞こえるので、
「これで十分!」
「これで正解!」
と考える人も多いのでしょうね。でも、このままだと、電源の相を逆にとっているギタリスト同士の肌が触れ合うと…、お互いが電撃ショックを受けます。
アメリカタイプの3Pプラグでギターアンプの電源を取っていれば、弦は大地に接地されています。電気工事を間違えていて、ライブ−ニュートラルが見かけとは逆だったとしても、スチール弦に触れている人間が電撃ショックを受けることはありません。また、「ジー」というノイズに悩まされる可能性も低くなります。
※ 皆無にならないのは、「ジー」ノイズの原因が、必ずしも電源の取り方によらないこともあり得るので。
日本の一般的な2つ穴コンセントに差し込むためにアースを取らないでおくと、シャーシはアースから浮いた状態となります。当然ノイズはアースを取っている時よりも大きくなります。更に、電源の差込みのニュートラルとライブを自分とは逆に挿している(これでも機器は働き音は出る。)もう一人のギタープレイヤーがいたら、二人ともそれぞれのシャーシ電圧になっている弦に常時触れていますから、体が触れ合っただけで感電ショックします。電源の差込を逆に挿している機器間では、そのシャーシ間電圧は、強制的に短絡させていない限り、100V近い電圧がかかっていますから。
コンピューターが複数あると、RS-232Cや同軸ケーブルなどでそれぞれが接続されていて強制的にシャーシ間が短絡されていますから、普段は気付かないのですが、機器の接続・取外し時に電気ショックを受けることがあります。
ということで事故を避ける為にアスキーNTには読者感想の葉書で書いたんだけれども、反応はありませんでした。
2001年夏に当時のアスキー本社(代々木・初台)で昔月刊アスキーを読んでいたけれどここ最近読んでいないという元読者を4人集めた座談会があって、これに呼ばれていった。生で遠藤編集長にもお会いできた。
※ 昔なら感激したろうね。
ここで、やはり遠藤さんが編集長していたアスキーNTの話も出て、このページで書いてるやばい電気の話もしてみたんだけれど、遠藤さん、まったく判らない様子。
ここまで読んでも、ど〜ち向きでも電気が取れればいいジャン!というあなたはそのうち、データ化けによるコンピューターのおかしな振舞いに出会ったり、感電でショックを受けたり、するでしょう。
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